転がるコインを例にして非ホロノミック拘束を受ける系のオイラーラグランジュ方程式を求める.山本『解析力学』の2章の読書メモ.

転がり拘束

本の図において,重心$(X, Y)$の速度ベクトルは,ヨー角$\phi$だけ向いている.その大きさは,コインが転がる距離 $a\dot{\psi}$であるから(コインが滑らずに転がるのであれば中心の移動距離は開展により描かれる弧長に等しいから)

$$\begin{align*} \dot{X} &= -a\dot{\psi} \cos \phi \\ \dot{Y} &= -a\dot{\psi} \sin \phi \end{align*}$$

と表される.ラグランジュ乗数 $\lambda_1, \lambda_2$ を用いて

$$\begin{align*} \lambda_1 (dX + a \cos \phi d \psi) &= 0 \\ \lambda_2 (dY + a \sin \phi d \psi) &= 0 \end{align*}$$

と表す.

重心座標と角速度

重心の座標$(x, y, z)$は以下の通り.

$$\begin{align*} x &= X - a \cos \theta \sin \phi \\ y &= Y + a \cos \theta \cos \phi \\ z &= a \sin \theta \end{align*}$$

その速度は

$$\begin{align*} \dot{x} &= \dot{X} + a \dot{\theta}\sin \theta \sin \phi - a \dot{\phi}\cos \theta \sin \phi \\ \dot{y} &= \dot{Y} - a \dot{\theta} \sin \theta \cos \phi - a \dot{\phi} \cos \theta \sin \phi \\ \dot{z} &= a \dot{\theta} \cos \theta \end{align*}$$

である.

また角速度ベクトルは

$$ \boldsymbol{\omega} = \dot{\theta} \boldsymbol{e}_{\xi} + \dot{\psi} \boldsymbol{e}_{\zeta} + \dot{\phi}(\boldsymbol{e}_{\eta} \sin \phi+ \boldsymbol{e}_{\zeta} \cos \phi) $$

より各成分は

$$\begin{align*} \omega_{\xi} &= \dot{\theta} \\ \omega_{\eta} &= \dot{\phi} \sin \theta \\ \omega_{\zeta} &= \dot{\psi} + \dot{\phi} \cos \theta \end{align*}$$

んなる.そして$(\xi, \eta, \zeta)$は慣性主軸であり,その慣性モーメントはそれぞれ$(A, A, C = 2A) (A = ma^2 / 2)$である.

ラグランジアン

やや冗長になるが,以下のように表される.

$$\begin{align*} K &= \dfrac{m}{2}(\dot{x}^2 + \dot{y}^2 + \dot{z}^2) + \dfrac{A}{2}(\omega_{\xi}^2 + \omega_{\eta}^2) + \dfrac{C}{2}\omega_{\zeta}^2 \\ U &= mga \sin \theta \end{align*}$$

書き下すのは大変.

オイラーラグランジュ方程式

一般化座標 $q$ について方程式をたてる時,各拘束における $dq$ の係数を足し合わせれば良い.

$$\begin{align*} \mathcal{E}_{X}[L] &= \lambda_1 \\ \mathcal{E}_{Y}[L] &= \lambda_2 \\ \mathcal{E}_{\theta}[L] &= 0 \\ \mathcal{E}_{\psi}[L] &= \lambda_1 a \cos \phi + \lambda_2 a \sin \phi \\ \mathcal{E}_{\phi}[L] &= 0 \\ \end{align*}$$

こちらも書き下すのは大変.