山本『解析力学』第3章の読書メモ.

3.1.2 拡大配位空間

運動方程式やオイラーラグランジュ方程式は基本的に局所的かつ逐次的である.つまり,N上の各点において速度が指定され,その速度に誘導されて系は初期値から徐々に位置が決定される.コンピューター上でシミュレーションする方法と全く同じである.

それに対して,ハミルトンの原理では,「初期条件」の代わりに「境界条件」として初期配位と最終配位が与えられ,それによって途中の経路が決定される.つまりその境界条件を満たす経路が,その途中経路全体の積分の振る舞いから決定される.その意味でハミルトンの原理による軌道の決定の仕方は,本質的に大域的かつ一挙的であるらしい.そのため初期時刻と最終時刻も境界条件になるから,時刻も状態にした拡大配位空間で考えるのが筋らしい.

3.1.7 ラグランジュ方程式の拡大配位空間上の表現

ここで述べられているのは,一言で言うとラグランジアンに時刻$t$が陽に含まれていないことは,時刻tを循環座標とみなせるという解釈.そしてその一般化運動量としてハミルトニアン$H_L$が相当し,保存量になるとのこと.

3.2.1 ワイスの原理

「ラグランジュ方程式の解軌道にそった任意の変分(必ずしも端点を固定しない)に対しては,その作用積分の変分は軌道の端点からのみの寄与に依存する」というのがワイスの原理.その時解軌道に沿った作用積分は端点のみの関数になっている.よって任意の配位空間における2つの状態の組み合わせに対して作用積分の最小値が存在して,それはその状態の関数である.これをハミルトンの主関数$S_H(q(t), t, q(t_0), t_0)$という.ハミルトンの主関数についてはいかが成立する.

$$\begin{align*} \dfrac{\partial}{\partial q^i}S_H(q, t, q_0, t_0) &= p_i(q, \dot{q}, t) \\ \dfrac{\partial}{\partial t}S_H(q, t, q_0, t_0) &= -H_L(q, \dot{q}, t) \\ \end{align*}$$

なんか最適制御の残余コストに似てるんだよなあ.

3.3 保存系と最小作用の原理

ラグランジアンが時刻tを含まない時,時刻tを循環座標としてその一般化運動量,すなわちハミルトニアンが保存する.そしてこれは系のエネルギーに一致する.さて,循環座標が見つかったらラウシアンを求めるのが筋である.ここでも拡大配位空間のラグランジアンに対してラウシアンを求めると,それが通常のラグランジアンになっている.