『モーター制御の全てが分かる本』を読んで一通りモーターに関する知識を付けていく。

磁気

磁石の極性はN極とS極がある。方位磁針の北を向く側をN極,南を向く側をS極とする。つまり地球の北側にはS極の磁極が存在している。鉄のようにN極にもS極にも引きつけられる物質は(強)磁性体と呼ばれる。

磁性体が(NSに関わらず)磁石に引きつけられるのは,一時的に磁石としての性質が備わるためである。鉄にN極を近づけるとS極になり,S極を近づけるとN極になるのであるが,このように周囲の磁気の影響で磁性体に磁石の性質が現れる現象は磁気誘導と呼ばれている。また周囲の磁気の影響で磁性体に磁石の性質が現れることを磁化という。そしてその磁気を残留磁気という。

磁力線

磁力線はN極からS極に入るものととして定義される(あくまで仮想的なものだけれど)。磁力線は向き付けられた曲線であり,その各点において方位磁針を置くと,磁力線の接ベクトルの方向を方位磁針のN極が向く。磁力線の密度が磁束密度である。

個人的に磁力線という呼び方は良くないと思う。磁力線ベクトルの方が良いのでは。

磁界

コイルに電流を流すと電磁石になる(右ねじの法則で,指が指す方向に磁力線ベクトル(N->S)が発生する)。よく起こる間違いだけれど,コイルに鉄心を挟んでいてもいなくても電流により生じる磁界強度は同じ大きさである。しかし空気よりは鉄心の方が透磁率が大きいため,生じる磁束密度は大きくなる。

つまり物質によって磁力線の通りやすさが異なる。 $B = \mu H$ において我々人間がいわゆる「磁力」として認識しているのは $B$ の方であり,それは物質によって $H$ が変化したものである。

コイルに電流を流して磁界を発生させることを励磁という。

基本的に $V \rightarrow I \rightarrow H \rightarrow B$ の順番で決まる。

磁極(磁気)

導線に電流を流すとその周りに磁界が生じるが,そのとき導線の周辺にN極とS極の磁極が出来ているわけではない。磁極と磁力線の関係について整理しておくと,i)磁力線ベクトル上に方位磁石を置くと,接線方向をN極が指す,ii)つまり接ベクトル上では始点にN極が,その指し示す方向にS極の磁極が仮想的に存在しているように見える。

磁力線と磁極

巻き数と磁力

単純にコイルに巻く巻き数を2倍にすると磁界(∝磁束密度)が2倍になるという訳ではない。

教科書のような理想的なケースではコイルに使う導線の抵抗はごく小さいため,巻き数を2倍にしても抵抗値は $r_\epsilon \rightarrow 2r_\epsilon$ に変わるだけである。そのため電流は

$$\begin{align*} I = \dfrac{V}{R + r_\epsilon} \rightarrow \dfrac{V}{R + 2r_\epsilon} \end{align*}$$

よりほとんど変化せず,巻線が2倍になる影響が支配的になることにより磁界も2倍になる。

逆に極端な例ではあるが,コイルから導線までの負荷抵抗が0(R = 0)として,コイルの巻き数が非常に大きいとしよう。このとき巻き数を2倍にすることにより電流は $I \rightarrow V/2r$ と半分になるので,磁界強度はそのままである。このように巻き数をn分の1にしても磁界強度が変化しない性質には以下の用途がある。

巻き数の多いコイルでは1本の巻数の多いコイルを作る代わりに,それを2,3本のコイルに分けて並列に接続することがある。コイルを分割して並列に接続しても各々の磁界強度は変化しないので,結果としてネットの磁界強度は2,3倍になる。

コイルの巻線には銅が用いられる。

磁気回路

トーラス上の鉄心の一部にコイルを巻いて電流を流すと磁界(∝磁束)のループができる。

参考文献

文献1