第13章 特異系

ハミルトニアンを求めるとき, \(\dot{q}^i\) を消去して一般化運動量 \(p_i\) をハミルトニアンの変数にするため,

\begin{align*} p_i = \dfrac{\partial L}{\partial \dot{q}^i} = p_i(\{q\}, \{\dot{q}\}) \end{align*}

を逆に解いて \(\dot{q}^i = \dot{q}^i(\{q\}, \{p\})\) を使ってハミルトニアンの代数的な形を求める.つまり,配位座標とした \(q\) の速度成分 \(\dot{q}\) がラグランジアンの中に存在しないとハミルトニアンを作れない.

これは拘束に対するラグランジュ乗数に対して問題を引き起こす.陰関数形式の拘束 \(\phi = 0\) に対してラグランジュ乗数 \(\lambda\) を用意してラグランジアン \(L \leftarrow L + \lambda \phi\) を求めたとき,そのラグランジアンに乗数の速度成分 \(\dot{\lambda}\) が存在しないことに気づくだろう.そのため ラグランジュ乗数に対する一般化運動量が定義できず ,ハミルトニアンを求められない.このように速度について解けないラグランジアン系を特異ラグランジアン系と呼ぶ.

13.1 1次拘束